「なぜMr. & Mrs. Abeのジュエリーはコンセプチュアルアートと評されるのか」

Creator’s Talk 特別編 解説:プラナスミューメ コレクション

 

「プラナスミューメ コレクション」は、ジュエリーでありながらコンセプチュアルアートと評される理由があります。

一輪の梅をテーマに、伝統美と現代的なデザインを融合させた作品は、身に纏うアートそのもの。その背景にある哲学と独自のデザインプロセスについて掘り下げます。

 

 

また、プラナスミューメコレクションに込めた思いや、ブランドづくりについては過去の記事をぜひご覧ください。

Creator's Talk  "故郷の梅とジュエリーへの思い"

Creator's Talk特別編①  ”Mr. & Mrs. Abe”が”梅(プラナスミューメ)”を通して目指す未来


 

 

ー プラナスミューメコレクションは「梅」をテーマにしたコレクションですよね。一つのモチーフ、それも花全体ではなく梅という一つの種類にこだわってデザインされているなかで、何か気を付けていることはありますか?

梅は日本文化に深く根付いた存在ですが、その一方で桜や菊ほど注目される機会が少ないとも感じていました。私たちにとって梅は、ただ美しいだけでなく、象徴性や特別なストーリーを持っています。

 

一つの花にこれだけの多面性があるということに魅了され、その奥深い魅力をジュエリーを通じて表現し、新しい価値を生み出したいという想いが、このコレクションの原点にあります。

また、ブランドの世界観として、狭くても深いテーマを追求することを大切にしています。

「梅」という一つの花を軸に、多様なデザインやアート的な試みを通じて、どれだけでも広がる世界観を作り出せるということを感じてもらいたいです。

 

梅の魅力は、その形や香り、歴史的な象徴性など、本当に多岐にわたります。その一つ一つを深掘りしながら、ジュエリーという形に変換する作業がデザインの核になっています。

 

その中で、私たちが常に意識しているのは、「梅のモダナイゼーション(現代化)」です。

伝統的なイメージを単に再現するのではなく、現代のライフスタイルや価値観に合った形に進化させることを目指しています。

 


 

 

 

ー デザインにおける「モダナイゼーション(現代化)」とは具体的にどういった試みなのでしょうか?

梅というと、伝統的で古典的なイメージを抱かれる方も多いと思いますが、私たちはそこに現代的な感覚や新しい価値観を融合させています。

 

例えば、クラシックな美しさを保ちながらも、ミニマルで洗練されたフォルムや、現代のライフスタイルに溶け込むデザインを追求しています。

これは梅のイメージを「進化させる」という挑戦でもあり、コレクション全体に通じる根本的な軸となっています。

 

 


ー プラナスミューメ コレクションにはいくつかのシリーズがありますよね。それぞれの特徴やデザインのポイントについて教えてください。

梅の持つ多面的な魅力を表現するために、コレクションの中に複数のシリーズがある、という構造は個人的にとても大切にしています。

 

それぞれが梅の持つ魅力を象徴的に表現しているので、一つ一つ話させてください。

 

Blossom Series (ブロッサムシリーズ)

ブロッサムは、ブランドの基盤ともいえるシリーズです。梅の王道的な魅力を表現することを目指し、上品で静謐な美しさを大切にしています。

たとえば、花びら表面のマットな質感による優美な輝きが特徴的ですね。

また、パヴェダイヤモンドを敷き詰めキラキラと輝くようにすると、まだ寒い雪の中で咲く梅を連想させるような、そんな情景がイメージできると思います。

煌めく雪片のようなパヴェの輝きは、冬から春への移ろいを象徴しているんです。

 

 

Petal Series (ペトゥシリーズ)

ペトゥは梅がこぼれ落ちる刹那の美をテーマにしています。「桜散る 梅はこぼれる 牡丹くずれる…」という日本文化の詩情豊かな表現からインスパイアされたシリーズで、その一瞬の儚い美しさを形にしました。

 

二枚の花びらのシェイプを少し傾け、今にもこぼれ落ちそうな絶妙なバランスを楽しんで頂きたいですね。

 

日本ひとは古来より諸行無常、つまり移ろいゆくことを受け入れ、心動かされて来たのではないでしょうか。だからこそ、花が散る瞬間にもそれぞれの花ごとの違いを見出し風情を感じていたのだと思います。

 

 

Scent Series (セントシリーズ)

「Scent(セント)」とは、「香り」という意味です。ですのでセントは梅の香りをテーマにしたシリーズです。

 

梅が持つ気品高く春を予感させる香りをジュエリーに閉じ込めるという挑戦をしました。梅は、見た目以上にその香りも楽しまれてきた花です。

冬の終わりに、この梅の花の香りが漂ってくると、ああもうすぐ春だ、と心躍りますよね。

 

セントのアイコンは「匂い梅」という名前の紋からインスピレーションを得ています。アイコン中央の扇形がシックなアクセントとなり、風雅で優美な梅の香りの余韻をイメージしています。

 

 

〈Link〉シリーズ

少し毛色が変わりますが、〈Link〉シリーズは Mr. & Mrs. Abe のペットジュエリーシリーズとのセルフコラボレーションという位置付けで制作しています。

梅とペットという全く異なる方向性のコレクションですが、この2つのエッセンスを組み合わせて繋ぎ、リンクさせることを意識しています。

 

BlossomSparkリングは、プラナスミューメBlossomの五枚花のデザインと、ペットジュエリーで使用しているラボグロウンダイヤモンドを組み合わせ、ダイヤモンドで梅の花を形作る造形になっています。

 

また、花の中央の地金はダイヤモンドを支える爪の役割を持ちつつ、梅の花の形にもなっています。

 

 


 

ーなるほど、シリーズそれぞれにこんなに奥深い意図が込められているなんて、おどろきました。

それでは、プラナスミューメコレクションは今後どのように展開させていくのでしょうか。現時点での展望があればぜひお聞かせください!

 

まずは、各シリーズごとに、それぞれまだまだアイテムを充実させていきたいと思っています。

また今後はさらに、梅の新しい側面を引き出せるシリーズを追加していきたいと考えています。

これまでのコレクションでは触れていない、要素を取り入れることで、より豊かな表現が可能になるのではないかと思っています。

 

狭いテーマだからこそ、その中に無限の可能性を感じていますし、私たち自身がその可能性を追求することにワクワクしているんです。

 


 

ー 最後に、プラナスミューメ コレクションを通じて伝えたいメッセージをお願いします。

梅は、一見すると小さくて控えめな花ですが、その中には驚くほど豊かな物語が詰まっています。

私たちのコレクションを通じて、お客様が梅の美しさや奥深さに気づき、それを身に纏うことで日常に新たな視点を加えていただければ嬉しいです。

 

そして、この一輪の花が持つエネルギーが、世界中に広がっていくことを願っています。

 


 

 

【過去の記事一覧】

Creator’s Talk 特別編 解説:プラナスミューメ コレクション

Creator's Talk  "故郷の梅とジュエリーへの思い"

 

Creator's Talk  "ペットジュエリーは、愛する小さな家族への本物のジュエリー"

 

Creator's Talk  ”Mr. & Mrs. Abeらしさを大事にしたい”

 

Creator's Talk特別編①  ”Mr. & Mrs. Abe”が”梅(プラナスミューメ)”を通して目指す未来

 

Creator's Talk特別編②  ”Mr. & Mrs. Abe”が”ペットジュエリー”を通して目指す未来

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